死の呪縛

2001年4月17日
彼が自殺した時 あたしはまだ中学生
それでも愛した 他に何もなかったから
信じられるもの 信じられる人 何もなかった
愛の意味を知らなくても 確かに愛した
愛された二人 愛しすぎた二人

引き裂かれる運命だとすれば それまで
彼は会えなくなるのなら それほど辛いものはない
そう思ってか 死を選んだ
死んだことを知ったのは しばらくしてから
声にならない 涙も出ない
ただ 思った 「逝きそびれた」
ただ 感じた 「あたしのせいだ」

彼の最後の言葉を忘れない 
「愛している」
彼の残した言葉を忘れない
「いつかきっと必ず 迎えに行くからね」

それからあたしは自分を傷つけ始めた
迎えなど待っていられるか 今すぐに
それでも行けない
ならば同じ辛さを感じなければ
腕を刻み続けた 数を数えながら
血まみれの洗面器と血まみれの刃、血まみれの机

夜中、月を見ながら思った
「早く迎えに来ないかな」「まだかな」
夜は待つ時間 眠ることなど出来ない
彼に会いたいから 彼が迎えに来るもの

すぐに迎えは来なかった
諦めながらもどこかでずっと期待している
今でも

誰と付き合っても彼と比較してしまう
続きはしない 罪悪感に襲われるから
「彼を裏切るの?彼が来るかもしれないのに?」

そして 付き合っていた男とカラダを重ねた後
今までにない罪悪感に襲われた
「あなたは彼のものなのよ?どうして?」
二度と誰のものにもならない
そうその時決めて 腕に彼の名前を刻んだ
深く深く 消えないように
この傷があるカギリ あたしは彼のものなのだ

死が愛を証明してしまった
形ないものに形づけてしまった

彼の呪縛から逃れた日は一度もない
毎日のように思い出し
毎日のように傷を見る

月があたしを呼んでいる 今でも
彼があたしを支配している これからも

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海

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