深夜貧血をひきずり、布団にもぐる。
意識が遠のく寸前がずっと続いているような感じ。
寝てもいいのに、眠れない。
彼は隣に寝ていた。

二人でぼそぼそと話す。
映画の話をしたり、彼の就職先の話をしたり。
あたしはうなずいたり、途切れ途切れにしか話せなかったが、それでも話をしていた。

聞いてみようかな。そう思って聞いてみた。
いろんなことをいろいろと。
彼は病気のことは、出会った頃から知ってはいたが。
何がどうして不安で何がどうして別れたのかなど、
話していなかった。
そして、二人で今まで何も正直に話さなかったこと。
溜めていた想いを全て吐き出すことになった。
どちらがどうしようと言ったからでない。
自然とそうなった。
彼が正直に話したかどうかはわからない。
彼ではないから。
それでも、あたしは正直に話した。

「普通ならね」という答えばかりが返ってきた。
アタマが回らないので、よくわからなかったが。
彼が話し始めた時点で、ようやく意味もわかってきた。
「俺、普通じゃないからさ。
さっきから『普通なら』て言っただろ?
普通じゃないんだよ。俺」
あぁ、そういうことか。
普通なら、耐えられないだろうことが
彼なら耐えられるし、苦にはならない。
そういう意味だったのだ。
あたしの取り越し苦労もここまで。
壁際を向いて、なんだか涙した。
はじめから正直にいろんなことを語っていれば。
そうしていれば、よかったんだ。

そして、彼は言う。
「不安なこと言わないよね。いつも。
たまに耐えられないように弱音吐くけど。だけど、それも弱音だけど、もっとしんどいの知ってるよ。
溜め込みすぎなのも知ってるし、溜め込んでしまう性格なのも知ってるよ。不安が大きいんだろうとか、
怖いんだろうとかそういうのも全部わかってるつもりなんだけど。」

正直、自分が恥ずかしかった。
今まで彼を誤解していたことや、一人よがりだったこと。
なんでもっとちゃんと話さなかったのか。
なんで最初からダメだと決め付けていたのか。
アタマ悪いな。あたし。

彼はあたしにキスをした。
「わかった?」
・・・・・・・わかった。
言葉にしなかったが、わかった。
眠りについて、目覚めたら、隣に彼がいた。
安心したから、また眠った。

別れの言葉をあたしが突きつけた時。
彼は話し合う場さえくれないのか?とあたしに問うた。
あたしは全てを現状のイライラと理論で片付け、
強引に別れた。
話し合えば、本音が出るかもしれない。それが怖かった。
今日出してしまって初めて、安心した。

何度も確認を取りながら、不安を安心に転換しようとした。
直視するのが怖かった自分のこともこれからも。
穏やかに治療の話が出来た。それも進歩だった。

ゆっくりでもいいから、少しずつ。少しずつ。

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海

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