本音の行方

2001年4月7日
誰かと付き合うことが億劫になっていた。
なぜ?どうして?
理由は簡単である。
付き合えばカラダの関係が出てくる。
男女どちらでも同じ。
プラトニックでいいと言いながらもそうはいかないだろう。

カラダの関係ができない。
自分はいいだろう。仕方ないのだから。
しかし相手はどうだろう?
辛いに違いない。男の人なら特に。
かなり前から考えていたことだ。
自分はよくても相手にとってはどんなに辛かろう。
偽善だと思われてもいい。
しかし、あたしはそのことで悩んだ。
何もしてあげられないかもしれない。
なのに、カラダの関係を持つことさえできない。
あたしと付き合うことに意味はそのうちなくなるだろう。
始めはよくても、そのうち絶対辛くなるに違いない。
そのことで浮気されても仕方ないが、
されればされたで悲しいだろう。耐えるだろうが。

彼と会った。
あたしは自然に力をもらう。緑・海・空。
弱くなった自分を考え直すために。
弱い自分を受け入れ認めるために。
泣いて逃げそうになる自分を変えるために。
それを彼はよく知っていた。
国営の大きな公園に連れて行ってくれた。
桜が咲き、小さな湖があり、小川がある。
「桜見てないし、見逃すと来年まで待たなくちゃだし、
今週で散っちゃうかもだから」
などと言ってはいたが。
おそらくあたしが緑を見たいのを知っていた。

この年になっても裸足で原っぱを歩き回り、寝転がった。
太陽を浴びるのが久しぶりで、まぶしかった。
笑うことができた。喋ることもできた。
二人で寝転がり、笑いながら話をした。嬉しかった。
時間が続けばいいと思った。
現実でなく嫌なことを忘れられる瞬間でもあった。
帰りたくなかった。

暗くなり、彼が映画を見ようと言った。
彼はあまり映画を見ない人だった。
あたしが無類の映画好きで、家に死ぬほどビデオを持っている。
それで見るようになったものだった。
その彼が映画を誘った。見たいのだと言う。
あたしの大好きなことを知っていた。
明らかに自分がでなく、あたしのために今日一日を過ごしてくれている。
それがわかった。嬉しかった。

気持ちが弱くなっていたからか、彼が物凄く大きく見えた。
いつの間にそんなに変わったのだろう。
彼に正直なことを言ってもいいかもしれない。
珍しくそんなことまで思った。
どんなにココロを許している人間でも言わないことも、
言ってもいいかもしれない。と思った。
一人よがりかもしれない。
それでも少し尋ねてみたいことを聞きたいと思った。

帰りの車、すでに丸一日以上寝てなかったあたし。
まだ貧血気味だったあたし。ほぼ何も口にしていなかった。
助手席に座っているのがやっと。
酸素が足りないと窓を開け、へばってしまった。
電車でなくてよかったな。また倒れるとこだ。
家まで送ってもらったものの、車から降りるのも精一杯。
彼は心配したのか、少しお邪魔しようかな。
そう言った。もう少し話をしたい。
そう思っていたあたしを知っているかのようだった。

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海

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